エナメル線産業の技術開発方向

1.細径

ビデオカメラ、電子時計、マイクロリレー、自動車、電子機器、洗濯機、テレビ部品などの電気製品の小型化に伴い、エナメル線も細径化の方向に発展しています。例えば、カラーテレビに用いられる高圧パッケージ、すなわち一体型ライン出力フライバックトランスに用いられるエナメル線は、もともとセグメントスロット巻き方式で絶縁されていたため、規格範囲はφ0.06~0.08mmで、いずれも厚膜絶縁でした。その後、フラット巻き方式の層間絶縁巻き線構造に設計変更され、線径はφ0.03~0.04mmに変更され、薄い塗装層で十分となりました。

2.軽量

電気製品の設計要件に応じて、要求の低い一部の用途では、細径軽量化ではなく軽量化に適した材料を選択する軽量化方法が採用されています。例えば、要求の低いマイクロモーター、スピーカーのボイスコイル、人工心臓ペースメーカー、電子レンジ用トランスなどは、エナメルアルミ線やエナメル銅被覆アルミ線で加工されています。これらの材料は、一般的なエナメル銅線に比べて軽量で価格が安いという利点がありますが、加工の難しさ、溶接性の悪さ、引張強度の低さなどの欠点もあります。電子レンジ用トランスだけでも、中国での年間生産台数が1,000万台と計算されており、かなりの量になっています。

3.粘着性

粘着エナメル線の特長は、スケルトンコイルや含浸処理なしで巻線できることです。主にカラーテレビの偏向器、スピーカーのボイスコイル、ブザー、マイクロモーター、電子トランスなどに使用されています。プライマーと仕上げの組み合わせによって、材質によって耐熱性も異なり、様々な用途に対応できます。この線種は、電気音響およびカラーテレビの偏向器として幅広く使用されています。


投稿日時: 2023年3月21日